ADHDは後天性に起こる?
12月 8, 2023
今回は先日、ADHDについて中野医学会で発表したトピックを紹介します。
◆ADHDは先天性か?
先天性です。「病気」ではなく「性格傾向」と捉えるのが正しいです。
のび太君+ジャイアンです(のび太君、ジャイアンの割合は人によって違う)。
◆後天性に(産まれた後の環境で)ADHD様の症状が出ることがあるか?
「ありそう」というのが答えです。
これについて説明していきます。
- ADHD傾向のある人の前頭前皮質(PFC、脳の前の方です)では、ノルアドレナリン(NA)やドパミン(D)の活性が落ちていることが知られています。結果的にPFCの機能が低下し、これが不注意や衝動性を起こすと考えられています。
- すなわち、後天性にPFCの機能が低下するような事態になればADHD様の症状が出現してもおかしくありません。
- PFCの機能はNAとDで制御されていますが、NA、Dの活性が低いと機能が落ちます。
- しかし、NA、Dが過剰な状態になると逆にPFCの機能が落ちることが分かってきました。
- 要するに、NA、Dが適量でなければPFCの機能は保たれないと言うことです。
- 後天的にNA、Dが過剰 → PFC機能低下 → ADHD様症状出現の可能性があります!
- 常にピリピリした環境で育つと、後天的にNA、Dが過剰になります。
- 虐待を受けてきた人がまさにこの状況に当てはまります。
- 実際、虐待のある家庭で育った人は、慢性的なうつ症状の他、ADHD様の症状が非常に多いです。
◆上記のとおり、虐待を受けた人はADHD様の症状を起こすことが多いです。
これは、虐待がADHDを発症させるということではありません。
あくまで、ピリピリした環境が脳内の変化を起こし、ADHDに似た症状を起こすということです。
◆虐待を受けた人のADHD様症状について
後天的なADHD様症状は薬が効きにくい印象があります。
◆まとめ
ADHDは先天性。
しかし虐待を受けた人は後天性にADHD様症状が起こしやすい。
虐待は慢性的な抑うつの他、ADHD様症状も起こし、一生に渡って陰を落とす。
虐待は絶対になくすべき行為です!
「ピリピリした家庭環境」が子供の脳に悪い影響を与えることを覚えておいて下さい。
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